2008年5月31日土曜日

庭木の土 4

 れから二ヶ月が過ぎた七月三十一日、総合庁舎のハローワークY課長に会い、「あの話はどうなりましたか」と訊くと、彼女の顔に笑みが浮かんだので、これはうまくいったのかなと思った。

Y課長は私の助言どおりに書面で上級官庁の静岡労働局へ上申した。局ではさっそく複数の業者から緑地の土を全部入れ替える相見積もりを取ったが、予想を上回る費用がかかるため、これはできないとした。そこで改めて、表土が側壁の高さより四センチほど低いので、植栽用の土を嵩上げする相見積もりをとった。それでも相当な金額になり、その予算がないため、中央の厚生労働省へ申請したという。

「いつ予算が付くか分かりませんが、益田さんのお陰でこれだけのことができ、私も職責を果たすことができました。本当に有り難うございました」とY課長から丁重な礼を言われた。

樹木を育てて環境をよくしようという私の小さな願いが実現するかもしれないと思い、私は嬉しさがこみあげてきた。「課長さん。予算が取れて土を入れても、それで終わったわけではないですよ。木は只では大きくなりません。剪定、施肥、消毒、除草などの予算を毎年とって、しっかり育ててください。」そう念を押して、ハローワークを後にした。

 八月二日午後、私はKさんを中電前の現場へ案内し、いろいろと教えていただいた。「この八本の木はハナミズキです。葉が枯れたのはアメリカシロヒトリのためです。消毒しなければなりませんが、この虫は樹勢が弱まるとつきます。この木はだいぶ弱っていますから、消毒してもいずれ枯れるでしょう。

バラも島田市の花だから植えたと思いますが、この土は植栽土ではないので、じきに枯れるでしょう。西側寄りのバラはもう駄目ですね。植栽用の土と入れ替えない限り、何を植えても枯れてしまいます。

造園した場合「かし瑕疵補償」という制度があって、業者は、植えた木が翌年枯れたら無料で植え替えますが、ここはもう五年も経っているから無料とはいかないでしょう。しかし、契約通りの植栽土を入れなかった手抜き工事が根本原因だということになれば、期間の定めなく業者に責任があるかもしれません。

むずかしい問題です。」何れにせよ簡単に解決できる、ことではないようだ。

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