2008年5月14日水曜日

抽象画の美 1

知人のNさんからグループナウNOWのゆさい油彩画作品展の案内状を頂いたので、六月末 、島田市大津の会場「ギャラリー発見」へ行ってみた。

 このグループは藤枝市のA先生が主宰しているもので、会場には九人の会員の三十点と、A先生の二点の作品が展示してあった。

Nさんは四点出品、その中の三十号の「階段のある風景」が代表作と思われるので、その絵について非礼を顧みず私見を述べることにする。

その絵画は昨年島田市の中心部に建てられた鉄筋コンクリート造り三階建てのビルの一部を描いたもので、同じような位置から描かれた他の会員の作品も七点あった。

Nさんの絵はビルの壁が赤色で、建物の外側に付いている非常階段の手すりが異様にひん曲 っている。Nさんの絵の右側に、同じ構図のIさんの絵が展示されてあったが、壁は白で手 すりは真っ直ぐである。

Iさんの絵は現実をそのまま表現した写実画で、鑑賞眼に乏しい私でもよく分かり安心して観れる。それに較べNさんの絵はいわゆる抽象画で、対象の写実的再現ではなく、彼女の心に浮かんだイメージのままに事物を色彩や形状で表現しているのであろう。

従って現実は白い壁でも、心象が赤色ならば赤く表現し、直線の手すりが曲っているとイメージすれば曲げて描くのだと思う。

Nさんは自分の感覚を基準とし、現実と異なる色や形を使って自分の心象風景を強調することによって、美をより的確に表現しようとしたものと思われる。

つづく

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